2019.06.26

コラム

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派遣の受入期間制限である「抵触日」とは|延長やリセットはできるのか

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派遣社員として働くようになると、耳にするようになるのが「抵触日」です。抵触日を1日でも超えてしまうと、そのまま勤務し続けることができません。そのため、抵触日を延長したい場合や抵触日以降も同じ職場で勤務したい場合には、事前に手続きが必要となります。

そこで今回は、事業所単位の抵触日と個人単位の抵触日の意味や、抵触日を延長する手続き方法などを紹介します。

派遣の抵触日とは

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派遣社員として働くようになると、「抵触日」という言葉を耳にする機会が増えます。抵触日には、「事業所単位の抵触日」と「個人単位の抵触日」の2つがあり、抵触日を超えて勤務をしていると労働者派遣法に違反することになるため注意が必要です。

まずは、派遣社員として働くために知っておきたい抵触日とはそれぞれどのようなものなのか紹介します。

事業所単位の抵触日

2015年以前の労働者派遣法では、専門性の高い28業務では派遣期間に制限が設けられていませんでした。しかし、2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法では、業務内容に関わらず、例外を除き、派遣期間が制限されるようになりました。

事業所単位での派遣期間は最長3年と定められており、3年を超過してしまう最初の日を抵触日と呼んでいます。事業所単位の抵触日を過ぎてしまうと、派遣社員は、そのまま勤務をし続けることができず、契約違反や改正労働者派遣法違反となってしまいます。

事業所にとって3年以上も人材を雇う必要があった場合、臨時雇用ではなく常時雇用を検討する必要があるとみなされるためです。

また、雇用の安定化を図るため、同じ派遣先に3年間勤務する予定がある場合には、派遣元事業主が「雇用安定措置」を図らなければなりません。具体的には、直接雇用の相談やキャリアアップ措置など、急に仕事を失っても困らないような措置をすることが定められています。

個人単位の抵触日(組織単位の抵触日)

改正労働者派遣法では、同じ組織で個人が勤務できる上限を3年までと定めています。3年を超過してしまう最初の日を個人単位の抵触日と呼び、抵触日を過ぎると同じ組織では勤務できなくなります。
また、個人単位の抵触日は「組織単位の抵触日」と表現される場合もありますので、覚えておくと良いでしょう。

あくまでも個人単位での抵触日なので、組織や課を異動することで場合によっては同じ会社で勤務継続ができる場合もあります。その場合は、事業所単位の抵触日をクリアしていることが条件です。

いずれにしても派遣契約を結ぶときには、個人単位での抵触日をチェックしておくことが必要。予め抵触日を念頭に置くことで派遣期限後のキャリア形成や派遣先の選定を事前に相談でき、理想のキャリアアップやライフスタイルに近づけることが可能です。

期間制限の対象外

中には、改正労働者派遣法に定められた派遣期間の制限が適用されないケースがあります。まずは、改正労働者派遣法が施行される前に結ばれた派遣契約です。再度契約を結び直す場合には、改正労働者派遣法が適用されるので、抵触日を意識しながら勤務しなければなりません。

また、60歳以上の派遣労働者や派遣先と無期雇用契約を締結している派遣労働者は、安定した雇用契約を得るために3年という期限がなくなります。他にも、日数が限定されている派遣業務や、介護休業、産休、育休など派遣期間中に一定の休業を得る場合も、抵触日の対象外です。

抵触日を延長したい場合

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自分のスキルに合う派遣先や職場の雰囲気が良い派遣先に就業している場合、抵触日を過ぎてもこのまま勤務を続けたいと感じることがあるでしょう。抵触日を延長したい場合には、どのような対処法があるのでしょうか?

意見聴取手続きとは

事業所単位の派遣期間制限の延長を求める場合には、事務所単位の抵触日より1ヶ月前までに意見聴取手続きをしなければなりません。意見聴取手続きは、正しい手順で行わないと意見聴取が行われたとみなしてもらえず期限制限違反となる恐れがあります。

どのような方法をとれば良いのか分からない場合は、早めに人材派遣会社に相談しましょう。人材派遣会社によっては、意見聴取手続きのサポートや手順を教えてくれる場合もあります。

意見聴取手続きの流れ

意見聴取手続きは、抵触日の1ヶ月前までに行わなければなりません。場合によっては意見聴取をする相手を探すことなどで実施までに時間がかかってしまうので、できるだけ早く正しい流れで着手することが大切です。ここでは、派遣社員側と派遣先企業の2つに分けて、それぞれが対応すべきことを紹介します。

派遣社員側

① 意見を聞く相手を決める
まずは、派遣先企業の誰に意見聴取手続きをしてもらうのか、決定する必要があります。派遣先企業の労働者の過半数が所属する労働組合がある場合は、その労働組合の代表者にお願いをしましょう。

労働組合がない場合は、勤務している労働者の過半数を代表する過半数代表者の意見を聞かなければなりません。過半数代表者を選出する場合は、派遣受け入れ期間延長を目的とした意見聴取のために行っていることを明確にしたうえで、管理監督者以外の人物を選出します。

このときに、投票や挙手などの民主的な手続きを経ていないと、適切な選出がされていないとみなされる場合があるので、注意が必要です。万が一、社長と派遣社員しかいない職場の場合は平等な意見を求める相手がいないため、意見聴取手続き自体ができません。

②意見聴取手続きのための資料を提出
過半数労働組合の代表者など、意見を聴取する相手に意見を求めるための書面を提供します。派遣先の会社に「意見聴取に係る通知書」を作成してもらい、具体的に動いてもらうようにします。

③意見聴取手続きの結果に従う
意見聴取の結果は、書面や電子データで派遣労働者本人に周知しなければなりません。そのため、意見聴取が実施された後には、何らかの形で結果が届くようになります。また、事業所単位の抵触日の延長に異議があった場合には、抵触日の前日までに対応方法や代替案を直接説明してもらえます。

派遣先企業側

①過半数労働組合などの代表者から意見聴取する
民主的な手続きで選ばれた代表者から、意見聴取をするために、意見聴取に係る通知書を作成して具体的に動いてもらいます。

意見聴取の会議内容や話し合いの内容などを細かく書面で残すという定めはないので、口頭で意見をいうことも可能です。異議があり事業所単位の抵触日変更が承諾されない場合には、抵触日の前日までにその理由や代替案、対応方針を派遣労働者に説明しなければなりません。

本人と話し合ったうえで事業所単位の抵触日の前日までには、どのような方法を取るのか決定します。

②意見聴取手続きの周知、結果の保存
意見聴取手続きの結果を書面に記載して、派遣労働者に通知します。書面には、主に次のような内容を記載する必要があります。
・意見聴取をした労働組合の代表者、または過半数代表者の氏名
・意見聴取に係る通知書の内容
・意見聴取を実施した日時、意見聴取の内容など
・派遣期間を変更する場合は、新たな派遣期間
・意見聴取に関する異議があった場合、派遣労働者に説明をした内容や日時、最終的な決定事項

事業所単位の抵触日を延長することになった場合には、上記の内容を記載したものは書面や電子データとして、事業所単位の抵触日より3年間は保存しなければなりません。もちろん派遣元の人材派遣会社にも、事業所単位の抵触日変更を通知する必要があります。

人材派遣会社と合意のうえで契約を締結し直し、事業所単位の抵触日を過ぎても勤務が継続できるようになります。

意見聴取に係る通知書とは

労働者派遣法の中には、意見聴取の手続きをするときに「意見聴取に係る通知書」が必要だと記載されています。意見聴取をする過半数労働組合の代表者などに次のような内容を書面で通知し、事業所単位の抵触日の延長を申し出ます。

・労働者派遣の事業所単位の抵触日延長を受けたい事業所名
・延長したい期間(3年以内)
・派遣の受け入れ開始時からの派遣社員数や、派遣先での無期限雇用労働者数の推移など
・回答の期限

書式

必要な事項さえ記入されていれば、書式に決まりはありません。しかし、あまり見にくいと正しく情報が伝わらないことがあるかもしれないので、A4用紙1枚程度にまとめられると理想です。

記入例

意見聴取に係る通知書の一例を紹介します。業種や業務内容に合わせて、必要事項を記載できるように工夫してみてください。


平 成 〇 年 〇 月 〇 日

過半数労働者代表                  
○ ○ ○ ○ 様
△△株式会社  ○ ○ ○ ○

派遣可能期間の延長についての意見聴取に係る通知書

派遣可能期間を延長し労働者派遣の役務の提供を受けることについて、下記のとおり意見を求めます。よろしくお願いいたします。
 

 
1. 労働者派遣の役務の提供を受ける事業所
△△会社  ○○県○○市
 
2. 延長しようとする派遣期間
平成〇年〇月〇日~平成〇年〇月〇日まで

3. 当事業所における派遣労働者の受入れ状況
〇年〇月〇日までの状況
受入部署 派遣労働者の受入期間 派遣労働者数の推移 正社員数推移
〇〇課
〇〇課     







4. 回答期日
平成〇年〇月〇日までに提出願います。期限までに回答がない場合は、意見がないものとみなします。

抵触日のリセット

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派遣社員には事業所単位の抵触日が設けられているので、同じ職場で3年以上勤務することができません。しかし、クーリング期間を利用すれば、一度抵触日をリセットしてまた同じ職場で最長3年勤務できることをご存じでしょうか?

ここでは、派遣社員という同じ勤務形態でもう一度勤務するために知っておきたい、クーリング期間について紹介します。

クーリング期間

クーリング期間とは、2015年9月30日より施行された改正労働者派遣法によって新たに設けられた派遣期間制度です。個人単位の抵触日、事業所単位の抵触日からともに3ヶ月と1日以上派遣業務をしない期間を設けることで、従来の抵触日が一度リセットされる仕組みです。

そのため、クーリング期間を設ければ、もう一度同じ職場で最長3年の派遣業務が可能です。派遣社員として同じ職場で仕事を継続したい場合や、今の職場に慣れているため継続して勤務したいという場合には、このような制度を活用するのも一つの手段です。

クーリング期間を利用してみたい場合には、事前に雇用主である人材派遣会社に相談すると良いでしょう。

まとめ

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今回は、派遣社員として働くうえで知っておきたい抵触日の意味や仕組み、そして抵触日を延長する手続き方法を紹介しました。抵触日を超えても派遣社員として働きたい場合には、前もって意見聴取手続きを行い承諾されれば、最長3年の延長が可能です。

正しい方法で手続きをしないと無効になってしまう可能性があるので、事前に雇用主である人材派遣会社に相談してみるのがおすすめといえます。自分の働きやすい方法で派遣社員としてスキルを積めるよう工夫してみましょう。

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