コラム
派遣社員のシングルマザーのメリットとデメリット|おすすめする働き方のポイントも紹介

仕事と子育ての両立で日々忙しいシングルマザー。正社員やパートなど、さまざまな分野で働く姿を見ることができます。
生計を支える働き方の一つに派遣会社を利用した派遣社員があります。現在、あらゆる業種や職種で派遣社員の募集が行われており、職務経歴や資格、スキルを生かした働き方が可能です。しかも、子育てで忙しいシングルマザーのワーク・ライフ・バランスを実現するのにふさわしいメリットがいくつも存在します。
ここでは、シングルマザーが派遣で働く際のメリットやデメリット、さらに働くうえでの注意点など、まとめて紹介します。
シングルマザーが派遣で働くメリット
シングルマザーは、育児や家事で時間がかかる一方、家族の生活を支えるためまとまった収入を稼いでいかなくてはなりません。責任は重いものの、社会的立場や収入が安定している正社員で働く方法もあります。しかし、シングルマザーにとっては下記のような悩みが懸念材料になってくるのです。
・勤務時間が長い
・思うように休みが取りづらい
・残業が発生する可能性がある
・突発的なトラブルに対処しなければならない
子育てをしながら、毎日8時間勤務をこなしていくのはとても大変なことです。
一方、パートやアルバイトは単発や短期から長期といった雇用期間はもちろん、1日の勤務時間も選びやすく、条件を満たせば社会保険も整っているので安心でしょう。しかし、下記のようなデメリットもあります。
・昇給や昇格が望みにくい
・収入が安定していない
・突然雇用が打ち切られる心配がある
その点、派遣ならシングルマザーが働くのにも、次のようなメリットがあります。
働く時間を調整できる
派遣社員は、8時間勤務が原則の正社員と同じような勤務時間で働く場合が多い傾向です。また、本人の都合で週に数日だけ働いたり、1日の勤務時間を短くしたりなど、比較的フレキシブルな働き方ができます。
会社の人員調整のために派遣は利用されるので、たとえば繁忙期の3ヶ月だけフルタイムで働ける仕事を探すことも可能です。また、1日の単発や週単位といった短期間の派遣仕事を次々と見つけながら稼いでいく方法もあります。
週5日8時間勤務がスタンダードな会社であっても交渉次第で、「4日や3日勤務にしてもらう」「1日の勤務時間を6時間にしてもらう」など、日数や時間の調整が効きやすいのが派遣の大きなメリットです。
したがって、具体的なイメージとしては下記のような勤務形態もできます。
・実家に預けられない曜日だけ6時間勤務にする
・家をなかなか空けづらい夏休みは週3日勤務にする
・幼稚園や保育園までは働く日数や時間を短くしてもらっていても小学校入学後にフルタイムで働く
派遣会社の営業担当者や派遣先の担当者と相談しながら、自分に合った働き方を模索できるのでおすすめです。
アルバイトよりも高時給
最低賃金ギリギリの時給も多いパートやアルバイトに比べると、派遣の時給はかなり高めです。時給は地域差が大きいものの、派遣の仕事は最低でもおよそ1,000円台からなので、アルバイトより効率よく稼げます。
もし時給900円のアルバイトをフルタイムで働いたとしても、月収は額面で約14万円。子育てしながら生計と立てるにはかなり苦しい金額ではないでしょうか。
これが派遣社員で時給500円アップの1,400円だとすると、月収は額面で約22万円になり、子育てと両立しながら安定した収入が望めます。
事務のような比較的時給の低い職種であっても、アルバイトで直接雇用されるより派遣は効率の良い働き方です。営業やサービス業といった職種なら、さらに高収入が期待できます。
子育てに理解を示す会社が多い
派遣の登録スタッフは女性が多く、利用する企業側も主婦や子育て中のママさん、シングルマザーなど、さまざまな条件で働いている派遣社員を多く見てきています。特に、大手派遣会社は女性の就労支援に積極的に動いているので、派遣先の企業と連携を図りながら、子育てをしながらでも働きやすい環境づくりに努めているところが少なくありません。
もちろん、派遣という雇用形態のおかげで、職場での働き方から出勤時間、休みの取り方、有給休暇の消化まで、ワークライフや福利厚生を上手に活用しやすくなっているのがポイントです。
もし、最初に聞いていたのと勤務条件が異なっていても、派遣会社を通して改善や調整をお願いできるので、安心して働けます。
正社員を目指すことも可能
子育てしながら派遣社員としてがんばれば、子供に手がかからなくなったとき、それまでの勤務態度や実績次第で正社員登用の道も開かれています。
派遣社員は、パートやアルバイトに比べると仕事で求められるスキルや経験が高めです。そのため、いざ正社員の職を探すときにも就職活動がスムーズにいきやすかったり、そのまま今の派遣先と交渉して正社員登用をお願いしたり、キャリアアップにつながる働き方といえるでしょう。
契約期間と契約更新
派遣契約は3ヶ月ごとに契約更新をしていくスタイルが一般的です。したがって、会社の業務量や予算の関係といった事情が急に変わると、初回のみの契約で終了ということもありえます。
最初の顔合わせでは1年単位での雇用を考えているといった長期の見通しを示されていても、景気や会社の業績次第で派遣社員が調整されるケースは珍しくないので注意が必要です。
派遣社員として勤務態度や仕事ぶりなどに問題がなくても突然、次回の更新がないと言い渡される事態は起こりえます。3ヶ月ごとに契約が更新されるかビクビクしながら仕事をしている派遣社員も中にはいるようです。
安心して子育てをしたいと考えて、長期的に働ける環境を探しているシングルマザーにとっては、契約更新されないリスクを考えて行動する必要があります。
昇給やボーナスがない
派遣社員は単純に働いた時間数で時給換算された給与が支払われます。したがって、会社に大きな貢献をしたり長期間働いていたりしても、基本的に昇給やボーナスの支給はありません。
派遣社員で年数や業績に応じて時給アップしている企業も存在しますが、数十円単位であることが多く、正社員のように昇給やボーナスの社内ルールがしっかり決まっているケースとは比較にならないのが現状です。
もちろん、一生懸命がんばれば昇給やボーナスはなくても、もし正社員登用制度がある企業なら採用のとき、検討材料に加えてもらえる可能性はあります。しかし、派遣社員である以上、そのままの雇用契約で正社員のような給与やボーナスに近づくことは難しいです。
そのため、フルタイムで働いても勤務時間と業務内容からコストパフォーマンスを考えると、経済面ややりがいといった点で満足できなくなる可能性は大きいといえるでしょう。
年齢が上がるにつれ求人が減る
派遣社員にも転職活動でいわれる35歳あるいは40歳の壁があります。
新卒の正社員採用に比べれば20代後半や30代でも派遣社員の求人募集はよく見かけます。しかし、40代以降は求人数が少なくなる傾向が強まるため、子供が大きくなるにつれて契約更新ができないこともあるでしょう。
また、新しい派遣先が見つかるまで時間がかかるなど、年齢によるさまざまな問題が浮上するのです。40代のシングルマザーの多くは、生活費だけでなく子供の学習や進学でまとまった教育費がかかる年代です。年齢がネックとなって働きたくても働けない、といった人も増えて来ます。
派遣先のシングルマザーに対する理解不足
社風や上司、職場の社員によっては、シングルマザーの苦労や大変さをあまり理解してもらえず、子育てと派遣先の仕事とのバランスを図るのが難しい企業も存在します。
たとえば、派遣の場合、基本的に残業はありませんが、繁忙期などで派遣会社に確認のうえ、残って欲しいといわれることもあります。そんなとき、子育てを理由に断っていると職場の仕事の進め方や契約更新に影響が及ぶかもしれません。
このように、シングルマザーとして働くとき、派遣先企業がサポートする姿勢が見られない場合、仕事を続けるのが難しくなる可能性が大きくなってしまいます。
紹介予定派遣で働く
紹介予定派遣とは、最初は派遣社員として働きながら派遣先企業と本人との適合性を見て、将来的に正規雇用を前提に働くスタイルです。
派遣で働きながらシングルマザーであることをわかってもらったうえで正社員を目指せるので、いきなり就職活動をするより正社員採用のハードルが低くなります。
派遣期間中はアルバイトやパートより高収入なので、生活も安定しますし、子育てと仕事の両立を試行錯誤しながら正社員になった後のワーク・ライフ・バランスをイメージして将来設計を描くことが可能です。
なお、紹介予定派遣は最長6ヶ月間の派遣期間のうちに双方の合意で正社員雇用が決まります。派遣会社によっては紹介予定派遣に実績のあるところもありますので、派遣登録時にあらかじめ将来的に正社員を目指していることを伝えておくことも方法の一つです。
また、派遣社員として働いている企業が気に入ったら正社員登用制度がないか営業担当者に相談していきましょう。
常用型派遣として働く
常用型派遣とは、以前主流だった3ヶ月ごとの契約更新がある登録型派遣と違い無期雇用を前提として派遣されるスタイルです。2015年から本格的に進められた派遣方法で、契約更新のリスクに不安を感じることなくしっかり腰を落ち着けてキャリアアップを目指すことができます。したがって、長期的に仕事をしていきたいシングルマザーにはおすすめです。
雇用期間に定めがなくなるほか、昇給やボーナスが支給される場合があったり、転勤がないので同じ勤務地で安心して働き続けることができたり、といったメリットがあります。
ただし、常用型派遣の雇用契約は派遣先企業ではなく、あくまで派遣元である派遣会社と結びます。わかりやすくいえば、派遣会社に正社員の派遣スタッフとして就職して、そこから企業に派遣されるといったイメージです。