コラム
派遣という働き方のコツ:業種別のモデルケースを紹介

派遣社員は派遣先企業で働く際、派遣ならではの働きやすくなるポイントや注意点を知っておかなければいけません。また、働く会社に直接雇用されるのではなく、派遣会社のスタッフとして派遣先で勤務するという独特の立場を考えながら振る舞う必要があります。
ここでは、派遣先で上手に働き続けるのに気をつけたいことや、業種によって異なる働き方のポイント、さらに派遣のメリットや向いている人など、さまざまな角度から派遣の働き方を考えていきましょう。
コミュニケーションをしっかり取る
勤務先の会社に直接雇用されていない派遣社員は、派遣元の企業の顔として「働かせてもらっている」といった姿勢が常に大切です。職場の正社員と適切なコミュニケーションを図らなければいけません。
ごく当たり前のことですが、派遣先ではまず率先してこちらから職場の社員にあいさつをしましょう。中には意識できていない派遣社員がいますが、あいさつは職場で良好な関係を構築するための第一歩です。好印象で自分の存在を覚えてもらう、社員から話しかけやすい雰囲気にするなど、あいさつでたくさんのメリットを引き出すことができます。
たとえ、派遣先の社員があまりあいさつをしていなくても、そこは気持ちを割り切ってこちらからあいさつしていきましょう。また、業務で必要な会話や休憩中は気持ちを込めて話すようにします。にこやかな表情で接すると、相手も親しみを感じて信頼度が高まりますし、こちらの気持ちを汲み取ってもらえやすくもなります。
また、職場にふさわしい言葉遣いも大切です。社員や仲間と親しくなるのは構いませんが、適度な距離を保つことも仕事を円滑にするコミュニケーションの秘訣です。プライベートに立ち入ったり、敬語を上手く使えなかったりすると、相手を不快にさせてしまい、円滑な業務に支障が出ることもあります。最低限の言葉遣いや、敬語や丁寧な表現が求められる場面ではしっかり使えるように準備しておくようにしましょう。
正社員に判断を仰ぐ
派遣社員は派遣先企業の指示に従って働きます。業務全体の責任は正社員にあるので、わからないことや、自分で判断ができないことは細かい点も正社員に連絡・相談しなければなりません。
職場で経験を積むと、ある程度派遣社員が判断しても良い場合もありますが、あくまでケースバイケースです。正社員の指示に従って仕事をしているという姿勢を崩すことなく、勝手な判断は慎みましょう。
また、これまでの経験やスキルと異なるアドバイスを受けたり、派遣会社からの指導と異なっていたりした場合は、無理に自分のやり方をとおそうとするのではなく、柔軟に対応しましょう。正社員のアドバイスは派遣社員からは見えていない業務フローや会社の方針を踏まえているかもしれない点を常に忘れないようにすることが肝心です。
自分のやることをしっかり把握する
派遣社員は派遣先の企業ではなく派遣会社のスタッフなので、業務内容が明確に決められています。もし派遣会社との契約で決められていない業務を頼まれた場合は、断ることが可能です。
それだけに、任されている業務で派遣先の企業が求めるレベルに達しなければなりません。担当業務がどこからどこまでなのかといった基本的な認識はもちろん、普段から業務に関するスキルアップを続けていくと長期的な契約更新につながります。
契約期間が決まっている
派遣社員は仕事を始める時点で、契約期間の見通しが立ちます。一般的な派遣なら3ヶ月単位とやや短期で契約更新を続けるスタイルなので、もし派遣先との相性がイマイチなら次回の更新をせずに他の仕事を選ぶことが可能です。派遣には1日のみの単発や週単位、月単位の短期の仕事も多いので、休日だけ働きたい、次の転職までのつなぎで仕事を探しているといった人にもぴったりです。
単発や短期で契約できるのは、正社員のように会社に縛られることなく仕事ができるので、メンタル的にも余裕が生まれます。また、契約内容を契約期間ごとに見直しできるため、派遣先によっては勤務日数や時間を後から調整することもできます。家庭の都合などでフルタイムではなく週4日や3日勤務にしてもらったり、勤務時間を1日4時間や6時間にしてもらったりなど、3ヶ月ごとに営業担当者と相談しながら、派遣先へ調整を持ちかけられるのも派遣のメリットです。
時間の自由度が高い
基本的に残業が発生しないため、早朝に出勤したり、終業時間後に急な残業が必要になったりといった心配がないため、1日の生活リズムを立てやすい働き方ができます。また、ライフスタイルに合わせて派遣先を選べるため、勤務先の場所によって通勤時間の調整も可能なため、時間を有意義に使えます。
終業してから子供のお迎えや家事、子育てなど、家族との時間を大切にしたい主婦やシングルマザーにもおすすめの働き方といえるでしょう。
仕事の悩みを派遣会社に相談できる
派遣会社の営業担当者が間に介在しているので、もし派遣先で起きたトラブルや悩みがあってもすぐに相談することができます。正社員なら、仕事の問題を気軽に上司や同僚に相談するのは、自分の評価に影響があるかもしれないのでしづらいのが普通です。しかし、派遣の場合は、派遣契約で定められた契約内容以外の業務はしない、派遣社員はあくまで派遣元の派遣会社に雇用されているといったメリットから、派遣先で起こったさまざまな問題をしっかりフォローしてもらえるのが大きな魅力となっています。
もし派遣先の仕事が合わないと感じたり、今後のキャリアアップを考えて仕事を変えたいと思ったりすれば、気軽に営業担当者に話してアドバイスを受けてステップアップにつなげることも可能です。
業種別の働き方例
ここからは、業種によって派遣はどのような働き方をしているのかを簡単に紹介します。
看護師
看護師として派遣で働くと、正職員と同レベルの仕事を求められる分、収入も安定しています。派遣とはいっても正社員に近い月収が手にできるので、一つの職場に縛られたくない看護師にはおすすめの働き方です。
また、派遣会社に登録しているため、病院側のスタッフは一定の距離を置いて接してくれることが多く、人間関係のトラブルに巻き込まれづらいのもポイントです。勤務時間も病棟勤務なら二交代制や三交代制といった病院ごとの時間割に縛られますが、日勤だけを希望することも、高収入のため夜勤のみ働くといった方法もでき、勤務時間を自分で選択したい有資格者に人気です。
保育士
保育士資格があれば保育園以外でも子供を対象にしたサービス施設で働けます。託児所や認定こども園、学童保育や会社の保育所など、子供の世話をする施設はバリエーションが多く、派遣のニーズも高まっています。
収入は地域によって差が大きいものの、パートやアルバイトとして保育園で働くよりは割高です。残業が多い傾向のある保育施設でも派遣は基本的に残業がありませんし、正職員に求められる雑多な事務作業もあまりしなくても良いようです。基本的に純粋な保育士としての仕事に専念できます。
介護
介護派遣はパートで介護するよりも割高な時給が見込めます。介護福祉士という資格のある人なら、正社員と同レベルの月収をもらえる派遣先も珍しくありません。資格と合わせて実務経験があれば、時給に大きく反映されやすいのも介護派遣の特徴です。
介護派遣なら残業が発生しないためワーク・ライフ・バランスを図ることが可能です。また、稼ぎたい人には夜勤専従で介護派遣をすることをおすすめします。夜勤手当を含めて日勤より高額な時給になるので、夜勤を専門に働いている介護スタッフもいるほどです。
さらに、ステップアップで介護福祉士の資格取得を考えている人なら、派遣勤務であっても就業期間や就業日数を資格取得に必要な実務経験に含めることができます。
IT
プログラマーやITエンジニアの分野では、もともと正社員であっても転職が活発に行われています。収入的に正社員と大差がないことも多く、ベンチャー企業になるほど社員の平均年齢も若くて風通しの良い職場が多いのでIT派遣で存分に働くことができます。
派遣社員としてさまざまな職場を経験して実績やスキルを積んでいくという考え方もあり、派遣が増えているIT業界では雇用形態よりもどのような仕事をしていきたいかをメインに会社選びをすると良いでしょう。
ブランクから復帰した人
看護師や介護職をはじめ専門職で働いていた人が、しばらく現場を離れていた場合、派遣から再スタートする方法があります。専門的な現場になるほど、業務知識やスキルの変化が早く、いきなり正社員で働くとスピードについていけない不安を感じる人も多いからです。
ブランクから正社員の就職をする前に、一度派遣というクッションを挟むことで、仕事の感覚を取り戻し、本格的な仕事への橋渡しをできるメリットも大きいといえるでしょう。
主婦
家事や育児をしている、節税のため勤務時間を抑えたいといった主婦なら、勤務日数や勤務時間を選べる派遣がピッタリです。パートやアルバイトで働くよりも高収入で、立場も守られていますので安心して仕事ができます。
副業をしたい人
働き方改革が本格化する時代、副業で本業と別に収入を得たいと考える人には単発や週末だけ働ける派遣は魅力的です。勤務先の就業規則との兼ね合いはありますが、自分の本業に関連した副業ならキャリアアップにつなげることも可能です。
まとめ
派遣で働くと、時間や職場に縛られないといった大きなメリットが手にできます。あらゆる分野で派遣が普及している今、業種によって派遣のメリットはさまざまですが、ますます派遣で働く人が増えていくことでしょう。時間を上手く活用したい人、キャリアを見据えて働きたい人など、多彩なニーズに応えてくれる働き方が派遣なのです。